スラー


 ギターを弾く上で、あたりまえのように見かけるスラー記号。
しかし、これが意外とやっかいだ!

左手にとって重要なテクニックとなるので念のため、指の名称(数字)を確認しておきます。

 まず、譜例1がタイとスラーの違い。(試験によくでます(^^♪)
見かけはそっくりのカッコの形をしていますが、タイは同じ音程に対してつけるもので
下の譜例では2拍目から3拍目にかけてレの音が4分音符2個分(2分音符)の長さになる。
一方、スラーは異なる音程同士につきます。これはなめらかに弾きましょうという意味になる。

譜例1


 スラーはすべての楽器に要求されるテクニックですが、弦楽器であるギターには2つのタイプのスラーがあると考えます。
それは上昇型のスラーと下降型のスラーです。
譜例1のド・レのスラーは音が上昇しているので、この場合はドを弾いた後のレを右手では弾かず左手で叩いて音を出します。
(左手指使いは2,4がよい)
ソ・ミのスラーは音が下降しているので、この場合はソを弾いた後のミを右手では弾かず左手で弦を下方に向かって引っかけ
はずすようにして音をだします。(左手指使いは4,1がよい)
ロック系ギタリストは上昇型スラーをハンマリングと呼び、下降型スラーをプリングと呼びますが、
クラシック系ギタリストはどちらもまとめてスラーと呼びます。
なぜ、スラーが難しいか現象、原因(複合的)、そしてその対処法をまとめてみました。

上昇型スラー(ハンマリング)

現象
上昇型スラーでの問題点は音がはっきり出ない、本来なめらかに弾くためのテクニックであるのに逆効果になっている。

原因
1.直前の音を叩く前に離してしまっている
2.叩くための助走距離が長いので目的の場所を叩けない(叩く度、指の異なる部分で叩いてしまう)
3.叩く力が弱い

対処法
1は叩く音の直前の左手の指は叩くまで離さない。
2はなるべく叩く指板上の真上の近い場所からスピード感を持って振り下ろす。
3は力強く叩く(あたりまえか!)。2とも共通にいえますが、鍛える意識と時間が必要。
力技ではなく、指をしなやかなバネにするための鍛練が必要と考えた方がいいかも。
譜例2がその練習方法。とくにもともと弱い指3、4の使用頻度は意外と高いのでd.はよいトレーニングになる。
タイマーなどを使って決めた時間内を集中して練習することを日々、習慣づける。
練習を続けてれいば程よく指頭もかたくなってくるので、音も出やすくなるでしょう。


譜例2



下降型スラー(プリング)


現象
下降型は上昇型より、やっかいだ。
音がクリアにでない。スラーされる音や、和音の音程が狂う。(高くなる)

原因
1.音がはっきりでない多くの場合、スラーする指を床方向ではなく、
中途半端に空中に浮かせ離してしまうことによる。
2.スラーする(あらかじめ準備しておいた指を引っかけて床方向に弦をはじく)指に
スラーされる指の動きが連動してしまい音程を狂わせる(高くなる)。
また、クラシックのレパートリーでは和音を押さえながらこのテクニックを併用するので
和音内の解放弦の音がこの指の連動(つられる)によってクリアに出なかったり、
押さえている和音の音程をも狂わせる。

対処法
1はしっかり床方向にはじく。その際もちろん隣の弦に触れてもいい。
(というか、隣の弦に乗っかってそれがブレーキになると思ってもいい。
勢い余って弾いてしまうのはいけないけれど・・・)
2はスラーされる指がスラーする指につられないように、意識的に練習する。
上昇型同様、弱い3,4の指を徹底的にトレーニングする。
譜例3がその練習方法。
練習量が質に変化するのを実感するためには、継続と忍耐が必要。
時々、自分のフォームを撮影してチェックしてみるのがおすすめ。
下降型スラーを多く含む曲を練習するのも有効。(譜例5参照)

譜例3

 譜例4は地獄のハンマリング・プリング混合練習。左2小節は上昇型(ハンマリング)、右2小節は下降型(プリング)
下に行けば行くほどつらい。しかしこの道は通らねば・・・。


譜例4


 最後にクラシックギターエチュードの定番から下降型スラーがたくさん出てくる練習曲をご紹介します。
譜例5はカルカッシエチュードの第8番です。
スラーする指に他の指がつられる場面が何か所かあります。
指がつられる(同方向に引っ張ってしまう)ということを裏返せば、各指の独立性が低いともいえます。
つられる箇所を抜き出して、繰り返し練習してみてください。
短い曲ですがスラーをしっかり聴かせようとするとなかなか難しいです。
動画もアップしておきました。


譜例5 

動画