和声学を学ぶ必要性


 ギターはメロディーを弾いたり、和音で伴奏をつけたり、その2つを同時にも演奏できる
大きな可能性を秘めた楽器です。
また、エレクトリックギターでは、アンサンブルの中で強力なリズムを打ち出したり、
派手なソロをとったりすることも可能。
このような、独奏、アンサンブルに関わらず多様な役割を担うことになるギタリストには
やはり和声学の知識はあった方がいい。
ある和声がその調の中でどのような機能(価値)を持ち、次の和声へと連結されているかを、知ること。
たとえばそれは、
緊張と弛緩の連続であり、
水が高いところから低い所へ流れていくような自然の摂理・・・。
音楽はただ楽譜通りに、音程、リズムが正しいだけでは、面白くない。
隣り合わせた和声と和声の関係性が理解できてくると、
音楽にダイナミクスと情緒が出てくる。
それを意識しているのと、意識していないで弾いているのでは、
確実に音楽表現に大きな差が出てくる。

人が音楽と関わる場合、次のパターンが考えられる。

・音楽を聴くだけの人
・音楽を聴き、演奏もする人

(音楽を聴かない人は除外、
演奏はするが音楽を聴かない人も原則的には存在しないので除外)

これを、人と料理(食べること)の関わりに例えると、次のパターン。

・料理を食べるだけの人
・料理を食べ、料理もする人

 料理を食べるだけの人は、材料や調理方法やスパイスなどの知識はなくてもいいかもしれないが、
料理をする人には、これらの知識は絶対に必要だ。
ただ、楽譜の表面上に書かれていること通りにしか演奏できない音楽家は、
レシピ通りには料理をつくることはできるかもしれないが、
足りない材料を他のもので代用するとか、冷蔵庫の残り物の組み合わせで
何か気の利いた一品をつくるとかできない料理人と同じ。
料理することが好きな人だったら、レストランで美味しいものに出会って感動したら、
これは、どんな材料で、どんな調理法で、どんなスパイスで、
はたまた、シェフがどんな思いでこの料理にこの皿を合わせたのか・・・、
など、いろいろな思いが湧いてくはずだ。
想像力のある音楽家なら、和声と和声の力学関係を分析したくなるし、
勉強している曲の作曲家の背景(国の歴史、作品の時代背景etc)なども知りたくなるのが自然。


ギターはかんたん・・・

 音楽の材料(三大要素)はリズム、メロディー、ハーモニー(和声)といわれている。
(和声、ハーモニー、コードはすべて同じ意味とします)
この中では、ややもすると後回しになってしまう和声の勉強ですが、
ここを弱いままではいけない。
しかもギターでは、解放弦を含まない和声フォームをひとつ覚えたら、横にずらすだけで
簡単に12のコードが作れてしまう。(1オクターブは12の半音音程で、できているから)
1フレットでFメジャーコードができ、それを1フレットずらせばF#メジャーコード、
さらに1フレットずらせばGメジャーコード・・・
と同じフォームのままずれていくだけ。
3フレットでCマイナーコードができ、それを1フレットずらせばC#マイナーコード、
さらに1フレットずらせばDマイナーコード・・・
と同じフォームのままずれていくだけ。


 ピアノでは白鍵・黒鍵入り乱れて、和声フォームが変化していくので、ギターのようには覚えられないだろう。
簡単すぎて、ピアニストの方々には、申し訳ありません・・・。
気合を入れて、練習したらコードネーム(和声)を与えられての初見演奏だったら、
初心者でも半年くらいあれば、かなりのものになると思う。

だけど、諸刃の刃・・・

 このように、ギターでコードネームによる初見演奏をする際、正直言って
その中に含まれる構成音(Cメジャーコードだったら、ド・ミ・ソとか)を
まったく理解していなくても、可能ということになります。
しかし、ジャズのように、アドリブを求められる音楽では、今鳴っているコードの構成音が
わかっていなくては、瞬間瞬間に的確な音をチョイスすることは不可能。
ギターの構造的特徴から、コードを覚えるのは簡単と言いましたが、
これは諸刃の刃になりかねないのも事実。
コード初見が強くなったからといって、コードの構成音を
覚えなくてよいという贖宥状を手にしたのではありません。
・・・できれば、和声学の必要性を強く感じてほしい。
簡単な歌の伴奏なんかが、ある程度、できるようになったら、
”ただフォームを丸暗記”から脱却し、
コード(和声)の構成音を理解するための勉強もすべき。
どんな音楽を聴いていても、なぜ、ここが美しいのか!?
と感じた時に思考停止するのではなく、
その美しい理由を探るのに、和声学の知識はとても有効になってきます。
コード(和声)の構成音を覚えるには「コードの構成音を覚える」ページを参照ください。